Records and remembrance

the report of Masaaki Monden 門田匡陽氏関連の情報を集めています。※非公式

MONDEN MASAAKI - Pure ライナーノーツ

「俺は独りでゲームをしている。純粋で孤高で、無敵」
BURGER NUDSGood Dog Happy Men、Poet-type.Mと様々な活動形態でキャリアを重ねてきたMONDEN MASAAKI 13年ぶりとなる本名名義での新作『Pure』

俺は独りで違うゲームをしてる。
純粋で、孤高で、無敵で居られるか。ってゲーム。

2023年12月1日に門田匡陽が自らのXアカウントにポストしたこの言葉 *1 は、本名名義では2011年にリリースされた『Nobody Knows My Name』以来、実に13年ぶりとなる新作『Pure』の性格をよく表している。2019年にPoet-type.Mとしての活動に一区切りをつけた後、「クリエイティヴ業界を別の角度から覗くとどう景色が変わるのか?」を動機に外部の音楽ディレクションの仕事を始め、さらにはそこにコロナ禍が重なったことを経て、「アーティストが自己の活動をよりパーソナルに捉え直す景色」を確認。そこから自身のアルバム制作へと向かった。

BURGER NUDSGood Dog Happy Men、Poet-type.Mと、これまで様々なバンドや名義で活動をしてきた門田の歴史を知る人であれば、本作が文字通り門田にとっての「Pure」なアルバムであることがすぐにわかるだろう。オルタナティブロック、ニューウェイヴ、トラッドフォークなど、各楽曲からはこれまでの活動で血肉にしてきた音楽性が感じられ、「ジャンル」という観点で見ればそれぞれの曲調はバラバラだが、門田匡陽という「個」のパーソナルが反映されているという意味では確かな統一感がある(特に、ロマンチックな側面)。そして、そこにプログラミングも駆使したモダンなサウンドデザインを付与することで、2024年にリリースされるべき作品へと着地している。プレイヤーとしてはドラムにお馴染みの水野雅昭と伊藤大地、ベースにMaryneと菅原将之、シンセサイザーにNao Yanagawaが参加。また、『Nobody Knows My Name』でもエンジニアを手掛けたhmc studioの池田洋に加え、島田智朗が録音・ミックスで関わり、門田の哲学や人柄を理解している人々が集まっていることも、作品にとってとても重要だったと言える。

「俺は独りで違うゲームをしてる」という言葉には、かねてよりアニメやゲームを楽曲のモチーフとしてきた門田のパーソナルが表れていると同時に、かつてのように目的やストーリーが決められていた時代のゲームではなく、オープンワールドが一般的となった時代ならではの自由なクリエイティヴの発露とも結びつく。実際本作はただの音楽作品にとどまらず、現在メタバースチームのVisitoR(ディレクターのtai_taiは「すたーてぃんぐおーばぁー」にギターとストリングスアレンジでも参加)とMVを制作中で、合成音声(ボーカロイド)バージョンの制作も計画されているという。こういった拡張性はPoet-type.Mとしての活動の発展系とも言え、様々な意味において本作がMASAAKI MONDENを主人公とするゲームであることは間違いないが、それと同時に本作は曲を聴いた誰もが自分が主人公であると感じることのできるMMORPGでもある。ぜひあなたにも、この世界を自由に楽しんでもらいたい。(金子厚武)


タワーレコード門田匡陽/Pure 商品ページ より引用。

*1: 引用者注: 該当ポスト。ポスト全文は「俺は独りで違うゲームをしてる。純粋で、孤高で、無敵で居られるか。ってゲーム。別の(オルタナティブ)な遊びをしてるんだよ。思いっきりハードルを上げといて。軽々と超えてみせるから。」である